ギッシング著 吉田甲子太郎訳
ギッシングの短編集。人間に対する皮肉に満ちている。上巻の始めに「ジョージ・ギッシングの業績」と題してとマス・セコームの作品(っていうの?)が収められている。
漢字が読めない…1946年初版か。昔は難しい漢字使っていたんだ。何となく読みの推測つくけど、恐ろしく変わっている漢字もある。体とかびっくり。
ギッシングの作品の登場人物は性格が極端に偏った人が多い。その偏りというのが、誰でも性格の欠点として多少は持ってい部分を肥大させたような感じ。肥大した部分に自分自身を重ねてしまって、胸がズキズキする。「ゆかしい家族」(今ならおかしい家族となるのかな?) は、読んでいて悲鳴あげたいというか、穴に入り込みたい気分にさせられた。何て愚かなんだろう、でも私も女主人公と同じような目に遭いそうになっていなかったか?幸い周囲に注意を喚起してくれる人がいたけど。「クリストファ」、これは「ギッシング短編集」にも収録されていたけど、積ん読の愛好者はクリストファに同情と嫌悪を感じそう。本を読み進めていると、自分がMのような気がしてきた。
この著者の作品は同じパターンの繰り返しのようなところがあって、飽きる人もいるかもしれない。登場人物の性格も同じパターンが何度も用いられている。「ジョージ・ギッシングの業績」に述べられている事は大体同意かな。ギッシングの貧民、教育のない人に対する軽蔑は作品の中にありありと出ている。女性に対しても厳しい。めでたしめでたしの結末の作品あるのだけど、どこかそらぞらしく冷たいのだ。