ヤーコプ・ブルクハルト著 新井靖一訳
世界史というタイトルがついているけど、ヨーロッパの歴史についての考察がほとんど。歴史をパターンで分けて述べている。ヤーコプ・ブルクハルトがメモとして残したものをヤーコプ・エーリが編纂した。
読みにくい…。もちろん内容が難しくて私の頭がついていけてないのだけど、p277「全体として見たとき、モンゴル人たちは(彼ら自身のうちにトルコ人が含まれていないかぎり)、精神的により劣った、他とは異なった種族であった、彼らの種族の最高度に精神的文化所産、すなわち中国がそのことを証明しているように。」…??日本語でおk、と言いたくなった。訳者の人も難しいという旨を解説に書いてみえたけど。白人中心主義の臭いがプンプン。ギリシア万歳、ローマ万歳。イスラムへの評価が少し低すぎないか?この著者の嫌悪感とか入ってないか?高貴な○○とか真の○○とか、精神の解放とか…ごめん中ニ病?とか思ってしまった。精神の解放ってプツっと切れた感じ思い浮かべるけど。
でも、読み物として面白い。歴史を分類してその分類に当てはまる歴史での状況を述べている。この辺りはなるほどと読んでいた。革命、テロ等についても納得がいく。えー?と思うところも多いけど。時代の感覚の差があるから仕方ないかも。
なるほどと思う格言が混じっている。独創性…p214「現代の精神的疫病」「この独創性なるものは、これを受け取る側の、感動を得たいという疲弊した人たちが抱いている欲求に答えるものである」、p328「至極平穏な時代においては…略…ただ才能があるだけという連中が第一等の地位へしゃしゃり出るが…略…彼らにとって芸術や文学は投機の部門、センセーションを巻き起こすための手段」現代はますますひどくなってますよ、ブルクハルトさん。 あなたが憂いていたように、単なるビジネス化しました。
読む価値はあると思う。現代への警鐘ともなる作品。過去の時代から現代を再考するのに良い一冊と思う。