上村勝彦著
インド叙情詩「マハーバーラタ」の中の一編「バガヴァッド・ギーター」を日本の宗教観と照らし合わせて解説する。
「マハーバーラタ」の原典訳の人。惜しい人が亡くなった。本当に残念。で、この著作は「バガヴァッド・ギーター」の教えを丁寧に解説しているのだが、何というか漫画やアニメ、ゲームで見たような名前や言葉が…。著者の考えとは別の意味で日本人に浸透していたりして。教えは昔の日本人の宗教観というか考え方に近いものがあるようだ。その辺りを丁寧に説明してある。現代の人には反発を感じる教えも多い。個性を認めないから。
私がこれは大事かなと思ったのは、p49の「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にない。行為の結果を動機としてはいけない。また無為に執着してはならぬ。」大概の人は( 私も含めて )こういう結果を得られるだろうという予測から、その行為を行う。で、うまくいかないと失望、怒り、妬みを溜め込む。まあ、社会自体が結果を動機とする体制だから仕方ないのだけど、心に留めておく言葉だと思った。どのページかちょっと失念したけど、ギーターでは死後の事を願うのも欲( 執着だったかな )として認めないということが述べてあった。確かに輪廻転生とか審判による永遠に命とか人間の欲に根ざしたものだよね。p58辺りに執着について述べてあるけど、積ん読の人には耳が痛い。
「バガヴァッド・ギーター」自体はちょっと読む気は起こらないのだけど、どんなものかを知りたい人には良い著作だと思う。