パウサニアス著 馬場恵二訳
2世紀後半( ローマ最盛期 )に書かれたギリシアの紀行文。抄訳。学術的に貴重な作品らしい。著者については名前以外詳しい事は分かっていない。
"この本の成分は半分注釈でできています" な作品。パウサニアスがきちんと自分の計画した順路に従い、当時有名だった名所旧跡を解説していくのだが、それに対して訳者が詳しい解説をつけている。その建物、美術の現在の状況、発掘現場等、解説の正否など丁寧にされているので読む価値はあると思う。
石は強いな。この紀行文が著されたのは2世紀、それよりも以前の作品が、完全な形でないにしろ現在にも残っている。パウサニアスが観ていたものを観る事ができるのはすごい事だ。何世紀後にも残したければ、やはり石最強か。そして面白いと思うのは、パウサニアスの間違いや勘違い( 酷い時は騙されている )を今の調査で指摘できる事。技術が進んで細かい検証ができるようになったとはいえ、不思議に感じてしまう。
ギリシャは現在一般人がなぜこうったの?状態になっているけど、この2世紀後半ローマの支配下のギリシャで、パウサニアスもギリシャの状況を残念に思っていたのだろう。