2010年4月7日水曜日

ユートピアだより (岩波文庫)

ウィリアム・モリス著 松村達雄訳
社会主義者の理想のユートピア。夢想無双。

 何というニート天国!これでネットがあれば最強!報酬は創造の喜びとかいうけど、そんなこと興味ない人間は、ひたすら遊んでいると思う。私なら働かない。
 これを読み始めて "よく似たの読んだ事ある" と思った。サドの「食事国旅行記」。あれと同じような話が一冊分と思って目眩がした。どちらもユートピアなんだけど、芸術に関する点が大きく違う。サドは芸術否定、こちらは芸術万歳。私はサドの方に好感持った。そういえば、こちらは同性愛については一言もなかったような。
  というか、完全に夢想の世界。気持ち悪いくらいの性善説。ここの世界の人たちも結局自分たちの考えに合わない存在はおかしい、という考えを持ってるように思えた。いつの時代も人間は変わらない。十九世紀から現代に至って下層言われる仕事をしている人々がやたら派手に黄金等を身に付けているような表現も多く、下層の人々を揶揄しているように読める。表紙の解説で「この物語に不思議な明るさを与える。」とあるけど、病んでる明るさでは…。
 いつも思うのだが、芸術家という人たちがやたら社会主義好むのはなぜ?別に資本主義、民主主義が素晴らしいとも思ってないけど、この傾向は不思議。