2010年8月5日木曜日

幼年期の終わり (ハヤカワ文庫)

アーサー・C・クラーク著 福島正実訳
人類が宇宙へ進出しようとした日、巨大な宇宙船団が突如現れた。それは平和な管理社会の始まりだった。

 はっきり言って凄く後味の悪い作品。気分が重くなるので、精神的に不安定な方は読まないほうがいい。後味が悪いというのは作品の質が低いという意味ではない。素晴らしい作品と思う。でも鬱になる。地球という動物園に入れられた人類。他から管理された平和、囲まれた娯楽。不都合な科学、宗教の押さえ込み。ニート天国、ネットし放題…いいかもとちょっと思ってしまった。最後はオーバーマインドの餌…一部になるっていうけど、どう考えても餌だよ。至高の存在のように描かれているけど、宇宙の独裁者では?この作品、オーバーロードが主人公っぽくもある。石女の種族、ただオーバーマインドに使われるだけ、一部にさえなれない。この先彼らはオーバーマインドに近づくことができるのか?
 この作品は光文社文庫にもなっているが、始まりが違う。個人的にはハヤカワ文庫版のほうが好きかな。