2010年8月18日水曜日

不幸なる芸術 笑の本願 (岩波文庫)

柳田国男著
「笑い」「ウソ」をその語源から探っていく。それとともに、それらの人生に置ける意味を問いていく。

 「笑い」はあまりに身近すぎて、深く考えたことがなかった。読んで笑うことを考えてしまった。笑うということは笑う対象がある。大概がその相手や物言に対する嘲笑だよね。テレビのお笑い番組。ボケ役の言動、行動を笑っているんだよね。もちろんタレントの人はそれを糊口としているのだけど、それを現実に持ち込んで周囲を笑う。p123「女の咲顔」の一節「笑われるものの不幸を予期している」。笑うなら遠い存在である政府とかメディア、タレント、企業とかにしときましょう。あーこの著作は「笑い」の語源や本質を突き詰めようとする内容で、啓発本とは全然違いますのでご注意を。「女の咲顔」での「咲顔」えがおと読むのだが、良い漢字でと思う。昔はこの漢字が使われていたそうだ。
 「不幸なる芸術」のパートは「ウソ」「バカ」についての話。「ウソのようなウソ」はついてもよすが「誠のようなウソはいけない」と徳川家康が言ったそうだ。うーん、良い言葉とは思うけど、家康も…ではないのか?ここでも、語源や歴史から考察がされている。
 「笑い」「ウソ」は一般人にも身近なので考えることも多い。柳田国男氏の著作の中では素人にもとっつき易い内容なので機会があったら御一読を。