2010年8月24日火曜日

遊女の対話 (岩波文庫)

ルーキアーノス著 高津春繁訳
今も昔も変わらない人間喜劇。娼婦、オカルト、占い、預言者、哲学者たちを、そして振り回される大衆を笑う。

  著者はローマ時代の人で、その頃の話でいいのかな。表題作「遊女の対話」では遊女を中心として、客、恋人、同僚と悩みや恋の駆け引き等を会話で進めている。内容は本当に今も普通によくある事。こうやって客観的に考えると本当にくだらない事なんだけど、当人はヒロイン状態になっていたりして大変だ。「嘘好き、または懐疑者」オカルトの世界です。真面目に信じていたのか、こういう荒唐無稽を。時代といえば時代だし、現代もここまででなくても周りから見ると馬鹿げてたことを信じている人いるし。私はオカルトも占いも遊びとしては大好きだけど、信じてはいません。昔は風水とか嵌った事あったけど、今から見ると本当に馬鹿だったと思う。「偽預言者アレクサンドロス」麻原彰晃を思い出した。アレクサンドロスは実在の人物で、麻原より上手に生き抜いた。今もよく似た人たち一杯いるよね。追随者も一杯いるよね。人間の精神面って進化してないような気がしてきた。「ペレグリーノスの昇天」ギリシャ人の名誉欲について解説で述べているけど、どっちかというと引くに引けなくなって、というような気が。現代だと一人で死んでいくのではなくて、集団自殺になってしまうんだろうな。
 何というか、今も昔も人間のやっていることは本当に変わりません。