ユクスキュル/クリサート著 日高敏隆/羽田節子訳
生物の環世界、その多様さ、世界像を考察する。
人間の観察者が視る生物の世界ではなく、生物から視た世界。それぞれが別の空間を持っている。それぞれ空間認識、時間の概念に違いがある。生物の行動は物理作用のみではないのだ。難しそうだけど、いや、きちんと考えるととても深いのだけど、面白く読める。いろいろな生物の例を用いて分かり易く説明されている。その生物を用いた例が楽しい。本当に生物の行動は不思議。だけど、その生物にとっては単なる自然の行動。あの動物は賢いとか何とかは結局人間視線の後付け。考えてみると生物学は難しい。実験だけでは解明されることはないのだから。人間は人間であって、決して他の生物の視点に立つことは不可能なのだから。
薄い本なので、難しく考えず、動物の行動を楽しむということで読んでみては?そして、考えることがあれば、それを広げていけばいいと思う。