ミラン・クンデラ著 千野栄一訳
「プラハの春」トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツの辿る悲劇。恋愛小説というより、哲学小説?のような。
その時代を通った人でしか描けない作品。恋愛小説なんだけど、底に流れるものが深過ぎて何も言えない。トマーシュ、テレザの行動は理解できない部分が多い。テレザはとことん女過ぎて、共感もあるけど同族嫌悪を感じる。トマーシュ…よく分からない。秘密警察とか絡んでくると、混乱してしまって。善かれとやったことも味方に悪く跳ね返ってきて、何もできないじゃないか。実際そういう場にいたら、頭真っ白になりそう。サビナとフランツのパートが面白かった…というか共感を持てた。フランツは日本にもいそうなタイプ。武装地域で亡くなっている人とか共通する部分あるんじゃないのかな。彼の最後の行動って、絶対やってはいけないと云われているパターンだよね。安全な国の人間の思考。しかし外国の人って行進が好きだなー。サビナは、チェコというバッグラウンドを通して視られることへのあがき?でも、それで儲けている部分もあったような。あと小説等に描かれるアメリカ人って、本当にパターン踏んでいて笑えるのだが。
文章が淡々としていて、内容にあっている。訳者の人、R.U.Rの訳の人だよね。幅広いな。「冗談」も読みたいのだが、文庫になってない、高い!