九鬼周造著
「いき」についての哲学的考察。青空文庫にもあるよ。
「いき」、頭では分かっているつもりでも、説明するとなるとできない。江戸時代のいい男と女で、涼しげな目つきで気っ風がよくって…。基本、町のものかな。で、読んでみて成る程と。そうなの?と思うところがないではないけど、考えてみたら私の「いき」のイメージってテレビや映画の時代劇からきているからね。模様についてのところが興味深かった。平行線か。平行線って数学やら哲学やらに取り扱われていて奥が深い。「諦め」という観念が意外。何というか、「いき」に対して、もっと前向きのイメージを持っていたから。
他に「風流に関する一考察」と「情緒の系譜」が収録されている。「風流」も奥が深い、というか、「いき」よりややこしいかも。「風流」も「いき」も、今はもう死んでしまった日本の美学ですね…。いや「風流」は半死半生かな。「情緒の系譜」はデカルトの「情念論」を思い起こさせる内容だった。読み比べても面白いかも。