2010年7月6日火曜日

自然の家 (ちくま学芸文庫)

フランク・ロイド・ライト著 富岡義人訳
フランク・ロイドの建築論。彼の美学、信条、民主主義への思想が語られている。

 私は芸術に関してはサッパリなので、そういう話の部分は置いといて、実際の住宅に関する部分は面白い。彼の関わる建築は上流階級向けが多くて、私には一生縁がない家ばかりなんだけど、考え方等は庶民の家にも十分活かせるものがある。私は雪国に住んでいるので、屋根の雪に対する考え方、p203辺りで雪を屋根に載せておくことを好ましいとしていることに目がいった。断熱効果か…家が頑丈なら可能だけど。数年前の大雪の時、家の軒が折れたところが続出だったから、日本の木造では無理か…。床暖房についても述べられている。ずいぶん昔からあったことに驚いた。床暖房は屋根の雪状態が重要。屋根の雪の溶け具合で屋根の断熱がうまくいっているか分かるとか。これは納得。台所の天井の話も良かった。p212辺りで、台所の天井を他より高くして、匂いの拡散を防ぐ…。私の家を含めてそういう構造見た事ない。他にもいろいろと考えることが多かった。「有機的建築と東洋」のところで日本の事も言及されている。自分の家について再考。
 p260から建築物の写真(モノクロ)が載っているけど…こういう家は富豪に相応しいよね、という感じだった。でもネットで検索したら出てきた落水荘はいい!
 p89「我らが政府は住まいを欲し、住まいを建てようとしている人々を、強制的に不動産ビジネスに追いやろうとしているのだ」…昔からこの状態だったのか…。