2010年7月25日日曜日

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ジェイムズ・P・ホーガン著 池 央耿訳
月面で宇宙服を着た遺体が発見された。死体は何と5万年前のものだった。彼は何者なのか?ジェイムズ・P・ホーガン、先日亡くなられました。非常に残念です。

 悪人が出てこない。意見の対立、学説による派閥の対立はあるけれど、本当に嫌な奴はいない。始めダンチェッカーがその役目を担っているのかと思ったら、最後にかっこ良く意趣返し。え、この人重要人物だったの?とびっくり。逆にハントとペアを組んでいくのかと思っていたグレイが、大した役回りではなかった。ちょっとコールドウェルがスーパーマン過ぎ。地球の状況、ルナリアンの調査の進展が理想的なパターンなんだな。著者の望みというか願いが透けて見えるような気がする。
 派手なアクションがあるわけではなく、推論、議論を繰り返しなのだけど、真実を極める一歩一歩が面白い。出てくる推論を自分なりに「これは変だ」「ヘエヘエ」しながら読んだ。一晩で読みました。すっかり寝不足です。ハードSFというとかまえるかもしれないけれど、理系サッパリの私でも大丈夫、適当に流しても態勢に影響無し。さて、続編を買うか、どうしよう。この心地よい余韻のままでいるのがいいのかな。