柳田国男著
学問上取り上げられる事の少ない、地方の名もない庶民の生活についての考察。
全部を読んでみて、テーマは変化かなと思った。表題作の「木綿以前の事」木綿が普及する以前( 恥ずかしながら、木綿って大昔からあったと思っていた )麻やそれに類するもの、その作られ方の考察、そこからなぜ木綿の使用へと変わったのか。決して変化を責めるのではなくて、その功罪両面の意味を述べている。表題作以外に19作収録されているが、どれも変化の意味を考えている、考えさせられる内容。戦前でも既に消費に踊っていたのか…。
「女性史学」食べ物のことは耳が痛い。汁物、柔らかいものが多くなっている事を著者は危惧している。玄米から白米へ進化して、また白米から玄米へ戻す人がでてきているのは良い傾向だよね。私もそうしたいのだけど、家族持ちはなかなか簡単にはいかない。嫁姑の話も取り上げている。家に二人主婦がいるのはダメだよね…。夫が妻の自宅に通う通い婚はとても良いシステムだったのかも…嫁姑的に。家庭の主婦の座について述べてあるけど、こんな風習では地方が若い女性に敬遠されても無理ない。さすがに今はないよね…。
「生活の俳諧」p282辺りから俳諧の人について述べられているのだけど、俳諧が担ってきた役割の一部分を今はブログ等が担っているように思った。