夏目漱石著
言わずと知れた名作。自殺した「K」。罪の意識の中で生きる「先生」。重体の父を残し、「先生」の元へ急ぐ「私」。読み始めはちょっと退屈を感じるかもしれないけど、遺書に入るととたん面白くなるので、ぜひ読んでもらいたい一冊。青空文庫にもあるよ。
いろいろ考察されている作品。いまさら何も書けない。とりあえず、作品中の人物として「K」はおいしいとこ取りしてる。心中の備写が無い分、考えてしまう人物だからかな。「私」も気にかかる。「私」が「先生」の元へ駆けつけている途中で父親が死んだら?「私」も業を背負うんだよね。みんな背負い過ぎだし、自ら背負ってしまうのだから始末が悪い。みんなここまで深く突き詰めて生きているの?深く思索できない私には理解できないけれど、自分のできない生き方には憧れる。
この作品を読んでどう考えるか、その人の思想…まではいかなくても人生観が映し出される。私は…「お嬢さん(妻)」気の毒過ぎ。「K」も「先生」も身勝手。「K」は死ぬなら世話になった他人の家ではなく、他の場所にしろ、と言いたい。「K」は「先生」に強い人間と書かれているけど、強くはないよね。強い人間なら、自分の矛盾、道の脆さに気づいたら、もう一度築き直すよね。それができない弱さが自殺につながってしまったと…。「先生」にしろ「K」にしろ、人の欠点…まではいかなくても人の愛すべき弱さを表している。ん…いかにも頭の悪い感想になってしまった。