オスカー・ワイルド著 福田恆存訳
超ナルシス ドリアンは、肖像画が体に表れる年齢、罪悪を背負ってくれるのをいいことに頽廃した生活を送るのだが…。
平坦な話が続いてちょっと盛り上がったかと思うとまた平坦が続く。平坦部分は頽廃の哲学みたいな感じかな。それが面白ければいいのだけど、うーん、これは私が今の人間だから退屈なんだと思う。作品が発表された当時は斬新で目新しかったと思うのだが。つまり、ドリアンもヘンリー卿もちょっとどっかで聞いたような事を話してるなと。作品が悪いのではない。
こういう年をとらない設定の話は、とらない人間は定住しない場合が多い ( 旅をして回ったり、自分自身を自分の子と偽って登場とかもあるかな ) けど、ドリアンは行動範囲が一定だ。小説は元々一つの箱庭の中で展開されるものだけど、その箱庭が狭い。そのせいか演劇を見ているようだに感じた。台詞、描写が大げさなせいもあるし、登場人物が淡々としているようにも感じる。実はみんな生きてなくて、演じているだけという印象。
主人公のドリアンは大した良心なんて持っていないのに、その良心に負けてしまう。ヘンリー卿の快楽主義も何かな。頽廃も快楽も描かれていないせいだろうけど、全体に半端に思った。