今和次郎 編纂
考現学の始祖が、昭和初期の東京のさまざまな顔を伝える。
上巻より下巻の方が面白かった。生活に近い部分の項目が多かったからかな。本屋の項目もある。岩波書店が小売りもやっていたとは驚き。花柳界とか華やかな世界の話も面白い。公娼私娼、こういう世界は関わりたくはないけど興味はあるよね。他にもいろいろ述べられているので、時代に思いを馳せるのもいいかも。
ちょっと疑問を感じる部分があった。例えば p150 アパートの項目で「隣室の物音は絶対聞こえない」…ってそれはちよっと…。まあ、生活音は今とは違うから一概には言えないだろうけど。扉、「留守の場合は鍵がかかっているので絶対戸が開けられない」、いや泥棒は開けると思うよ。
現在考現学はどうなっているのだろう。今こういう本を書いても、本当にただの宣伝ガイド本になってしまいそうだ。